2015年2月22日日曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 4

いよいよループアンテナ本体の考察をします。
実際の形はインターネットで MLA とか 磁界ループアンテナ とかの画像検索をすればその概略はすぐにわかると思います。
このアンテナが使われるシーンとしてはマンションのような狭い立地、移動局の仮設、が多いと思います。 MLAの姿は良く見えませんが画面左側にベランダから突き出ています。
使用可能周波数帯はHFから50MHz帯でしょう。
これより高い周波数では八木型の方が使いやすいです。
またHF帯でも3.5MHz帯より低い周波数帯では作るのが難しくなります。
使用可能周波数はとても狭いことは前にお話ししましたが使用周波数に合わせるためにバリコンが必要になります。
実はこのバリコンのお蔭で簡単にマルチバンド化が出来るのもこのアンテナの特徴です。上手に作ればHFすべてをカバーすることも可能です。

ループエレメントは大きい方がアンテナとしての効率は良くなります。 しかし一般的に購入できる金属材料の定尺サイズは4mです。 これ以上長いモノは繋ぐか特別な素材を見つけることが必要です。
形状は円形でなく、4角でも、3角でも、複数巻でも、よいのですが単巻の円形が無難です。
素材は銅かアルミが一般的です。加工のしやすさや重さを考慮するとアルミパイプを使用する例が一番多いです。
私はパイプより使いやすい(私の思い込み) アルミフラットバー をお勧めしています。

このアンテナは使用しない時にはベランダ内へ収納するようになっています。
他の居住者への配慮です。 自分ではカッコ良いと思っても苦情が出てからでは手遅れになります。
* 参考写真はJA1CXBさんのアンテナですが撮影時期は多少ずれているかもしれません。(撮影時、7MHz帯 非対応です)
試行錯誤の実験を繰り返し改良されています。

こちらのサイトに設計参考資料が有ります。利用させていただきました。【感謝!】
http://www.geocities.jp/jun930/
実際の計算はこちらから・・・
http://www.geocities.jp/jun930/ham/calmla.html
但しフラットバーについてはデータが有りませんけれど表面積が同じいくらいの条件で計算すればよいでしょう。

定尺4mのフラットバーをまるめて作った場合40pF程度のコンデンサで14MHz帯に使えそうです。しかし高い周波数・30MHz帯では10pF以下になります。
これは計算上の結果で、現実の問題では浮遊容量の影響で10pF以下は難しい条件になります。
ループエレメントを長くして1/2波長になるとコンデンサは限りなくゼロに近づき実現できなくなるでしょう。
(浮遊容量はゼロに出来ません)
ループエレメントを小さくして直径1.1m(周長3.5m)にすれば 14MHzで60pF、30MHzで13pF となりますから何とか作れそうです。 7MHz帯は付加コンデンサで対応します。
ベランダに二つのMLAを上げられるなら24MHzあたりを境にすると楽でしょう。


2015年2月15日日曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 3

バリコンについてはなんとなくバタフライ型に固まってきました。
スプリットステータ(2連バリコン)でも良いのですがループエレメント(放射エレメント)との取り合いを考えるとバタフライに分が有るように思います。
バリコンについて気になるところはそれを動かす方法です。
電動、リモコン、は外せない条件です。ただしそのスペースや機構のためにバリコンを作る以上に労力が必要です。
JA1CXBさんのバリコンは駆動部分の方が大きくなってしまいました。
そして機構部品と云うのは作るときの精度が重要で後からの調整は不可能に近い場合が多くアマチュアの工作としては厄介です。
ジャンクのモータや模型用の歯車、プーリ、等を利用したのですが気に入ったものはできません。
当時はラジコン用のサーボモータなんて高価なのでその対象になりませんでした。
しかし時代の流れ、ロボット工作人気がサーボモータの価格をどんどん下げてくれました。
今回実験に使ったものはジャンクモータより安い¥400です。

RCサーボ(模型用サーボモータ)の実験
模型用とは云えサーボと云うだけあって動いた位置情報が操作側にフイードバックされますから
バリコンに付ければどれだけ回したか解ります。
ジャンクモータではこれを知るためにフォトカプラだのリミットSWだの大騒ぎをしました。
RCサーボは軸の回転数がバリコンとほぼ同じですから機構は簡単です。
制御に付いて調べて見ますとマイコンを使った高精度の実験例が殆どです。高精度ですがそのまま真似しても猫に小判の制御になってしまうと考えました。
MLAの場合その日の気象条件、等でバリコンの位置は微妙に変わります。使用中にも微調整が必要な場合があります。
トランシーバのSWR計を見ながら微調整ツマミを回して調整する、アナログ人間の得意とする方式は欠かせません。
明日になればその最良点も変化してしまう代物で有ることをわすれてはいけません。

アナログ的にタイマICでおなじみ 555 を使って動かす実験を始めました。
タイミングパルスとサーボホーン(軸に付いたアーム)の位置関係を調べました。
RCサーボのスペックはどのメーカもさほど違いは無さそうですがきちっと規格化されてるようでも有りません。
私の使った SG90 の場合。
カタログ上では20m/sの周期で1.5m/sのパルスをPWM端子に入れたとき中位になります。
180度動かすときのパルス幅は+90で2m/s、-90で1m/s です。
http://akizukidenshi.com/download/ds/towerpro/SG90.pdf
この規格は他社も同じようですがかなり大雑把な規格のようです。
本来の目的では±60度以内で使うコトを想定してるようです。 
内部可変抵抗の回転限界位置を超えると破損の危険が有りますから動作確認をしておく必要が有ります。
バタフライバリコンでは回転角90度ですが取り付けギヤなどを考え1/2に減速しています。
エレキジャックにRC-サーボの実験記事が有りましたのでそれを踏襲しています。
http://www.eleki-jack.com/KitsandKids2/2008/12/555rcrc_1.html
この回路で回転範囲不足が有りましたのでC1、R1を調整しています。調整にはオシロが有ると楽ですが無くても可能です。パルス幅は 2.8m/s~0.6m/s 程度に広げています。
555の計算にはとても便利なサイトが有りました。
http://www.zea.jp/audio/index.html
このサイトのこちらを参照ください。
http://www.zea.jp/audio/schematic/sc_file/018.htm

* パルス幅数値はオシロの管面から読み取ったもので正確ではありません。
* 20m/sの周期は1ユニットだけで使う時は正確である必要はありません。
* 可変抵抗やその他定数を変化せると周期やパルス幅も変わりますが今回の用途では問題ありません。実験では簡単に入手できる部品定数を使用しています。
* 1.5m/sが正しく中位になるか解りません。±60度くらいで使うコトを想定してるようです。±90度で使う時は限界位置を越えないように十分注意が必要です。限界位置を超えると機械的破損の危険が有ります。

この方式で制御盤のつまみ位置に印をつけるとかバンドごとにプリセットすることも可能に思います。
次はループアンテナ本体に付いての考察です。

2015年2月13日金曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 2

バリコンの制御に行く前にもう少し 『☆ バリコンに求められる条件』 について書き忘れたことを追加します。JA1CXBさんの使ってるバリコンを見るとバタフライやスプリットステータ(2連バリコン)で普通のシングルバリコンは使っていません。でも、MLAの図解を見るとシングルバリコンが殆どです。 この理由は屋外の環境が悪い所で使われることを想定しているからです。シングルバリコンのロータ側(動く方)は摺動接点が必要になります。これが屋外で使うアンテナでは故障の原因になるのです。それを逃げるためにシングルバリコンを直列にするとロータの摺動接点の接触不良の問題がが簡単に解決できます。その結果耐圧は2倍になりますが容量は1/2になってしまいます。
そのような訳でバリコンの着地点は電気的、形状的、にバランスの良いバタフライ型になると思います。軸の回転範囲が90度と云うのは気にしていません。


摺動接点を持たないバリコンも実験して見ましたが現段階では深く追及していません。
その一例としてこんなものを考えて見ました。
ベーク板の両面に貼った電極間隙をネジで調整しようと云うモノです。
その昔、真空管時代によく使われたパディングコンデンサに似た構造です。
使用周波数帯ごとに固定コンデンサを併用するなら十分機能を発揮できるでしょう。
実用化に当たっては絶縁物の材質や耐圧について十分検討が必要です。
固定コンデンサについては後ほどお話しますが同軸ケーブル利用の 同軸コンデンサ が使用できます。


【 チョット一休み 】バリコンと云うのはアマチュア無線家の間では良く使われる言葉でバリアブルコンデンサ(variable condenser)ですが最近はコンデンサのことをキャパシタ(capacitor)と英語表記することが多くなっています。netで検索する場合にもキャパシタcapacitorで検索するほうが良い場合があります。 ますます英語が共通語になって来たんですね。
英語圏では、「コンデンサ condenser」と言った場合、復水器などや光学器の集光器などを表す場合が多いようです。コンデンサマイクなどは相変わらずコンデンサマイクと呼ぶことが多いようです。外来語とか和製英語とか頭が混乱します。


2015年2月11日水曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 1

マンションのベランダでHFを楽しむには MLA・磁界ループアンテナ に勝るものは無いと思います。
超短縮のダイポールや超小型のホイップではマッチングの問題やインタフェアの問題で悩むこと必須です。特にアンバランス型のアンテナでは強烈なインタフェアを覚悟しなければならないでしょう。 また、マンションのベランダの広さにも問題ありでアンテナをたくさんあげられません。
簡単に免許が下りる200Wで運用するにはMLAを置いて他にはないと云っても過言ではない気がします。
もちろんMLAでも見た目の美しさや安定感は重要でマンション自治会に嫌われたら最後、無線の楽しみは消え去ります。
写真はJA1CXBさんのサイトからの引用です。
MFJ等のメーカ製も有りますが200Wはかなりきついのです。
何がきついか・・・チューニング用の高耐圧バリコンがネックになるのです。
これが手に入れば後は何とかなります。
友人のJA1CXBさんは見事にこれを克服しHFでのQSOを楽しんでいます。SSTVのような連続のフルパワーでもトラブルなく使っています。
【参照】http://my.reset.jp/~cxb/mla.html
とは言っても最初はトラブルの連続でした。
それを乗り越えることが出来たのは、このアンテナ特有の高電圧に対する配慮です。
JA1CXBさんのサイトを見ればその苦労が理解できると思います。

このアンテナはいろいろ問題はありますがちょっとひと工夫すると簡単にマルチバンド化が出来ます。
つまりチューニング用に使ってるバリコンのお蔭?でバリコンを回せばカバー範囲を自由に選べるのです。
もちろんそれを実現するためには乗り越えなければならないハードルは高いです。

☆ バリコンに求められる条件
高耐圧であること。
非常にQの高いアンテナですから共振すると高電圧が発生します。その電圧はLC比にもよりますが200Wでは6~7kVになります。
写真はJA1CXBさんのサイトからの引用です。

正確なチュウニングが必要。
Qの高いアンテナですから使用できる帯域がとても狭いです。7MHz帯で使う場合など有効な帯域は数kHzしかありません。 たまに 『結構帯域が広い』 と云ってる方がおられますがそれは余り出来が良くないと云っても良いかもしれません。バンド内を駆けずり回って遊ぶためには度々チュウニングを取り直す必要が有ります。

バリコンについてはJA1CXBさんの例が有る通り自作もそれほど難しいモノではありません。そして7MHzでは付加コンデンサも必要ですがそれも200Wに耐える作り方を習得されています。
 是非今一度JA1CXBさんのサイトを読み返してください。
http://my.reset.jp/~cxb/mla.html
写真や実用面での考察にはJA1CXBさんのサイトからの引用許可を頂きましたことお礼を申し上げます。

次回は積み残しになっていたバリコンの制御に付いて新たなアイディアを持ち込みました。これがうまく行ったらバリコンの作り方、アンテナ本体に付いても言及する予定です。