2016年6月8日水曜日

GPS同期 10MHz周波数基準機

超簡単
GPS同期 10MHz周波数基準機 作りました。
GPS同期 10MHz周波数基準機

トランジスタ技術2016年2月号に特集でGPS受信機を利用した周波数基準機の話が出ていました。
これで無線機や周波数カウンタの校正ができないだろうか?
私の利用範囲としては1ppm(1/1000000)程度欲張ってももう一桁でしょう。私の持ってるカウンタも8桁表示で0.1Hzが測定限界です。
特集では0.001ppmを目標にした本格的基準機の記事も有りましたが何回も読み返してるうちに1ppm程度なら 『簡単に出来そう』 と思えるようになってきました。
そんな折、友人と基準機の話が出ました。何と彼はもう作ったというのです。早速見せてもらったら想像通りのモノ。
* 画像をクリックすると拡大します。

GPS受信機から直接10MHzの信号を取り出す。
今回のターゲットは、秋葉原のAitendo で売られている NEO6M-ANT-4P です。
NEO6M-ANT-4P
アンテナ付きで¥2780と激安ですが出力は、1Hz です。
これは設定変更により10MHzも可能。ただし定格外なので出力波形が大きく乱れています。それをバンドパスフィルタを通し基準機として使えるようにするというものです。
この NEO6M-ANT-4P が要注意なのは結構怪しい品質と説明書はほとんど無いことです。店員に聞いても 『そこに書いてある以外解りません』 との返事。書いてあるのは品名と値段だけ。
解らないことは自分でnetなどで調べる、さらに不良があっても自分で対処する覚悟が必要です。
今回もバックアップ電池周りのトラブルに巻き込まれました。
これも遊びのウチと思えれば楽しいものです。
仮組でテスト
必要な部品はAitendoで購入しました。
NEO6M-ANT-4P GPS受信機ANT付き
U2TL340-5P USBシリアル変換基板
バンドパスフィルタ用としてインバータIC 74HCU04 
コイル CY09 2個
CYTECのハムバンドコイルを購入しました。
CYTEC  http://www.cytec-kit.com/
その他ケースや小物部品が必要。
回路図等はトランジスタ技術 2016年2月号 を参照ください。

NEO6M-ANT-4P の使い方や設定についてはトラ技2月号に出ていますが初めての人には難解かもしれません。 とりあえず回路図を見ながら電源とANTを接続すれば動作確認はできます。


そのときついでに U2TL340-5P も接続してしまえば後が楽です。
netで調べた回路図。
トラ技の説明どおりに進んでいけば問題ないでしょう。 問題になりそうなポイントや設定の方法も特集の中に記述がありますから視野を広げて繰り返し読むことが早道です。

一番重要なバンドパスフィルタについてははっきりと書かれていませんがnet上で見つけることができると思います。
扱う周波数が10MHzですから、それほど難しいものではないでしょう。
CYTECのホームページにもバンドパスフィルタの参考資料があります。
受信機からの信号取り出しについても記述があります。通過周波数は10MHzだけですからフィルタの出力をオシロで見ながら調整すればどんどんきれいな波形になるのが解ります。
このケースに組み込む準備

スイーパなどで帯域特性を見る必要はありません。
コイルの結合容量は小さめで過結合にならないようにします。
出力はリンクコイルで取り出しますが接続される機器の影響を避けるためグランドはフロートにした方がよいでしょう。
インバータ(74HCU04)はフィルタのドライブ用です。負荷の影響を避け十分ドライブするため1段受けてさらに4パラでフィルタをドライブしています。余った1個は表示用ledに使っています。(あまり意味のない使い方です)

ケースは手持ちのタカチSS125、電池ボックスが付いてますけど使いません。アッセンブリ用に蛇の目基盤を加工します。角穴の所にANTユニットを嵌め重ねてNEO6Mを固定します。空きスペースはバンドパスフィルタ用。

netから設定用ソフトをダウンロードしてここまでの動作テストをしておきます。
https://www.u-blox.com/ja/



1PPS(1秒)のパルスはこんなに綺麗。蛇の目基盤にバンドパスフィルタを組み込みます。

10MHzの波形はこんな感じ。
バンドパスフィルタを通すとびっくりするほどきれいになります。

設定の方法やバンドパスフィルタについてはトラ技を参照ください。

すべてが組み込まれたアッセンブリ基板。
はみ出してるバックアップ電池は基板にのらなくなったのでリード線を付けて隙間に押し込みます。



多くの方が遭遇した設定保存ができない問題。
これは多くの場合メモリバックアップ電池 (MS621FE) のトラブルのようです。
電源は5Vです。これを供給すればバックアップ電池用の3.3Vが供給されます。
電池の電圧を測定し異常があれば原因を追究してください。
ハンダづけ不良、電池不良などが考えられます。長期放置のため電圧が低下したものは復活する場合があります。
基板パターンの不具合で電池が正しく付けられていないようです。
この電池は3Vリチュウム2次電池です。秋月や稲電機(少し大きい)でタブ付きのモノを売ってます。普通のコイン電池や、3.6Vリチュウムイオン電池と間違えないようにご注意ください。
私の場合電池充電回路のハンダ不良でした。しかし充電しても復活しなかったので電池を交換しました。
基板上の電池スペースはとても狭く外すのもひと苦労でした。リード線を引き出し外部につけています。
これは同じAitendoモデルでもバージョンによって違うと云う話もあります。
使いやすいようにケースに入れれば完成です。
私は設定の時必要なUSB接続のことを考え電源もUSBから取っています。 電流は変動がありますが90mA程度です。
完成してしまえばコンピュウタは不要ですから小さなモバイルバッテリを使用しています。電源SWは付けていません。
appendix
私がアマチュア無線(HAM)を始めた頃、短波の受信機で1KHzが読めるのは高級機でした。送信機だって10W以下のアマチュア無線局は周測計はなくても良かった。水晶振動子銘板表示を信じていただけです。実際には0.025%以内であると信じていただけでした。
ご存知のように水晶振動子の発振周波数は発振回路の条件でかなり違ってくるのですがそんなことは気にしていない時代だったのです。電波標準として JJY があっただけでした。
しかしHAM人口が増えたりデジタル信号を扱うようになってくると相手局とぴったり周波数を合わせておかなければ効率よく通信ができません。100Hz以内にしておきたい。実際にはもう一桁精度を上げたい。
私の使ってるトランシーバはTS-850S-Lはその偏差0.5ppm。と云われてます。しかし購入してから一度も周波数校正をしていません。カウンタは持っていますがそれも校正されていません。
そんな折見かけたトランジスタ技術(2016Feb.)記事 『GPS電子工作』
その中に、GPS受信機から10MHzの信号を取り出す記事がありました。
これはGPSの基準に同期した信号ですからいつでもすぐに使える基準機です。ウオーミングアップも不要です。
私にも作れそうとアイディアをそっくりまねして作ってみました。そのような訳で詳細はトラ技2月号を参照ください。



2016年1月30日土曜日

宙玉(そらたま)レンズを作ってみました。

虫の目レンズというのは有名ですが同じような発想の宙玉レンズ!
ざっくり云えば、魚眼レンズのような超広角で大深度フォーカスのレンズです。
クリックすると拡大できます
こんな感じに写ります。
中心の画像と周りの背景?がポイントです。一般的に虫の目レンズは中心部分だけです。
レンズ構成はいろいろあるようですが一番簡単な前玉に30mmのアクリル玉、カメラとの接続は手元にあったクローズアップレンズ(X2)を使っています。この部分はフィルタリングなどでOKです。
撮影原理は、凸レンズ(虫メガネ)を焦点距離以上離して目の前に置くと倒立の実像が見えます。
紙などに印刷された文字を見るように焦点距離以内に置いて大きく見るのは正立の虚像です。
この倒立の実像が見える範囲にカメラを置いて撮影したのが宙玉レンズの画像です。
ズームの取り方で鏡筒の映り込みが出ます
普通の虫メガネでは焦点距離が長く、画像が倒立になるだけですが短焦点のレンズを使うと広角になります。
その最たるものが球形です。都合のよいレンズを探すのは至難の業ですがガラス玉やアクリル玉は簡単に手に入ります。もちろん光学レンズではありませんので歪も有ります。
おもちゃのようなものですからあまり気にしません。
このレンズを使う場合必要な条件があります。
★ この画像を写すカメラですが接写ができること。
接写ができないと鏡筒がその分長くなって使い勝手が悪くなります。
レンズを付けるためのアダプタ(グレーの筒)
★ レンズを取り付けるフィルタ用ネジ(フィルタリング等のアダプタでも可)があること。
普通のカメラにはレンズの先端にフィルタなどをつけるネジが切ってあります。カメラによってはフィルタアダプタが別売になっているものもあります。コンパクトカメラの場合は要注意です。
◎ 私はキャノンのG12を使いました。このカメラはオートフォーカスで1㎝からの接写ができます。さらに別売ですがフィルタアダプタも販売されてます。
私はこの部分は自作品を使っています。こちらを参照ください。
http://ja1cvf1.blogspot.jp/2012/01/canong12.html
さらにG12はバリアングルのモニタが付いていますからカメラアングルを自由に選べます。
★ 写した写真を加工できるコンピュータ。
このレンズは中心画像と背景画像の微妙なバランスに楽しみがありますのでコンピュータによる画像加工が必要です。写した画像は、中心部が倒立です。180度廻したり、さらに鏡筒によるケラレなども手を加えたくなります。

鏡筒の組み立て
鏡筒周りの材料
鏡筒は塩ビ管の端切れ(76φの雨どい)です。長さは約67㎜です。
これに円板をはめて構成します。
アクリル玉は30㎜ですから2㎜のアクリル板に少し小さめの穴をあけて接着します。
写真ではよく解りませんが上の右側にアクリル球を付けた円板が見えます。
こういうレンズ遊びをやったことがあればこの板の固定方法はお解りと思いますが、鏡筒の内部に前後から帯板を貼りアクリル板を固定します。
円板の切り方
円板はセンタ軸(左側の細いピン)を中心として板を回転させながら切り出します。
カメラ側のベースは10㎜の板で作りました。
内径を間違えたので修正しています。ベース板に位置決め用のアタリ(下の写真に見える2本のビス)をつけて回転させながら内側を削ります。
このリングは鏡筒とビス止めです。内側の穴はフィルタリングの直径に合わせ側面から芋ネジで止めています。これらの加工はフライス盤を使っていますがボール盤でも不可能ではありません。
結構ハードルは高いですがお試しください。
ご不明の点があればコメント欄に書き込んでください。


円板(円盤)加工については ラベル・円盤加工 を参照ください。