2015年3月22日日曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 7

いよいよバリコンの制作です。 今回は失敗のお知らせもあります。

秋葉原やホームセンタで入手可能な材料を使い、特別な工具を必要としないでバリコンを作れないだろうか? そして作ったのですがボール盤はどうしても必要です。困難が伴うかもしれませんがドリルスタンドでも可能でしょう。
この心を理念にJA1CXBさんのバリコンを作ってそろそろ20年に成ろうとしています。
今回も基本的には以前造って大成功だったJA1CXBさんのバタフライバリコンの踏襲です。
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今回はVU100のビニール管を使用するため少し小さくなっています。 しかし、サイズの縮小がとんでもない結果となりました。
ビニール管VU100の長さは自由ですが有効径は107mmです。それより大きいサイズのVU管ではとても重くなりアンテナとして使い難いモノになります。
JA1CXBさんのバタフライは確か?150Φだったと思います。ケースは手作りですがその資料は散逸してしまいました。 この場合ステータの取り付け軸等を考えてもロータの直径は120mm程度を確保できました。
ところがVU100で作るには同じような作り方では80Φのロータを作るのがやっとです。いろいろ工夫して100Φのロータを付けましたが、極板一枚当たりの容量が小さくなってしまいました。 と云うコトは極板の数を増やす必要が有ります。そうなると最少容量を小さく出来ません。
目標可変範囲は5~60pFです。
少しでも極板1枚当たりの容量を確保したいための工夫をして作った極板です。
0.5mmのアルミ板をハサミで切り出すのですがこれは見た目より簡単です。
ハサミで切ると平らだった板が無残にもねじれて曲がってしまいます。でもあまり気にすることはありません。
図面を羽根の数だけコピーしてアルミ板に張り付けます。そして曲線でも気にせず線に合わせて切ればOKです。ねじれて曲がっても後でのばせばOKです。
図面をアルミ板に張り付けるノリはスプレーのりを使います。今回は貼って剥がせるタイプ(3Ⅿの55カラー)を使いました。普通のノリではすぐに剥がれて切断位置が解らなくなります。
切断の時、曲がってねじれたアルミ板は手で伸ばしただけでは使えません。平らな板の上に乗せ木ハンマーで軽く叩いて伸ばします。とくに切り口の歪みなどは注意しましょう。
ハサミはこのように軸がオフセットされているモノが使いやすいと思います。とくに直線切りに具合が良いです。
最後はやすりで角を丸めれば出来上がりです。
この技法は耐圧が低く極板のギャップが狭い場合や0.5mm以上の厚板で作るときはお勧めできません。
* 歪みの細かい修正は困難です。
同様にプラスティック円板を作るときはセンタを固定して回転させながら切り込みます。詳細はこちらを参照ください。
<http://ja1cvf1.blogspot.jp/2012/01/blog-post.html>

全体の動作状態をチェックするため仮組します。RCサーボも取り付け動かして見ました。
【参照動画/Facebook  3月18日 11:50   】
一見大成功のように見えますが・・・今回の試作は少し無理し過ぎました。
極板5枚の仮組で容量を測定したところ8~20pFの可変範囲でした。
目標の5~60pFにするためにはどうしましょう。 最小値を小さくするには極板を減らさなければなりませんが、最大値60pFを得るためには極板を増やさなければなりませんので、相反する条件ですから実現不可能です。
* このまま極板を増やすと最少容量は10pF以下にするのは困難です。
もちろん14~28MHz帯のすべてでは無くその一部で使うコト、耐電力を100Wに下げることをすれば使用可能でしょう。(極板間隙用のカラーを8→6mmに変更する)
目標に到達できませんので細かい寸法は省略しました。

目標を達成するにはどうしたら良いでしょう。
思いつくのは バリコンの形状を大きくする ことですが大きくすると重くなりアンテナとして全体の重量バランスが悪くなります。
もう一つの方法として逆の発想ですがメインループを小さくすればバリコンの最少容量が大きくても可能となります。しかし効率は低下します。
この兼ね合いをどうするかバリコンの形状をもう少し考えて見ます。

さらに今回メダマのRCサーボですがノイズの問題(これは何とかなりそう)と、サーボモータへの高周波回り込み対策が出来ません。サーボアンプの至近距離に高電位の信号が有るのでその対策に名案が浮かびません。
古典式のDCモータ制御方式にするか思案中です。
そのような訳でしばらく時間を頂きます。

2015年3月16日月曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 6

良くない知らせ。
まだ本格的な制作に入ってないと云うのに、友人から良くない知らせです。
それはRCサーボに関する問題です。
受信中、RCサーボを動かしたとき強烈なノイズを発生、受信が困難なことがわかりました。私の実験はそこまで進んでいませんので私自身は実感が有りません。でも、機種は違いますが同じメーカの製品です。
友人のレポートで、DCモータの電源端子に普通は必ず入っていると思っていたノイズ軽減用のコンデンサが入っていないようです。

モータ端子とモータケースの間にコンデンサを入れる。
幸いにもモータの配線は解りやすい所にあります。チップコンなら何とか組み込むことが出来そうです。
友人は手持ちのコンデンサを組み込み大きなノイズ軽減効果を得ることが出来ました。

そしてさらに難問が発生しました。
微弱電波を出しながら、チュウニングを取り直そうとRCサーボを動かそうとしても全く反応しないと云うのです。10w位に出力を低減しても強烈なRF信号の回り込みでSWR計を見ながらのチュウニングが出来ないのです。
現在この対策はうまく行ってません。
強電界に曝されるRCサーボ本体に電子回路が組み込まれています。シールドするとか引き出し線にコアを入れるとか、月並みの対策しか思いつきません。
でもこの対策が出来ないと実用に耐えないことは云うまでも有りません。
頭を抱えながらいよいよバリコン制作に取り掛かります。

2015年3月4日水曜日

MLA・磁界ループアンテナを作ろう 5

いよいよ方針が固まり形が見えてきました。

目標は200Wで連続送信可能なモノ。
アルミフラットバーを使った直径約1.1mのループです。
アルミフラットバーの定尺は4mですから切らずに使えばもう少し大きくなります。しかし28MHz帯では負荷容量が小さくなり浮遊容量を考慮した場合実現不可能になると思われ3.5mで作ることを想定しています。
共振用バリコンは約60pF、耐圧7kV、バタフライ型です。
バリコン制御にはRCサーボを使いバンドごとのプリセット可能なものとします。ローバンドでは同軸ケーブル流用付加コンデンサを使用。
但しこれがうまく行くかは??? 疑問符がいっぱいついています。
疑問符のいくつかは製作段階で変更の可能性が有ります。

7kV超の高電圧  沿面放電に要注意!
高電圧に関してアマチュアの経験と勘に頼るしかありません。
今回の実験で対象物は短波帯の高周波電流です。直流とは大分様子が違うようです。
1mm-1kV 耐圧1kV必要なら1mmのギャップが必要、頭の中に書き込まれたこの数字不思議と大きな間違いはないようです。
7kVですから7mmです。バタフライ直列ですから3.5mmあればよい。
しかしこれで何回も失敗しています。電流が空中を通るならこれで良いのですが絶縁物が有るときは別です。
この部品はもう使えない
私たちの工作では絶縁物にガラスやセラミックなどは使えません。
しかし加工は容易ですがプラスティックの絶縁物は曲者です。絶縁物としての性質だけでなく誘電体としての性質も考慮しなければなりません。 と云うコトは電気を蓄えてしまうためその電位が変わってきます。そのため予想以上の高電圧が掛かる場合が有ります。
さらに、この絶縁物の表面を伝わって放電する沿面放電が有ります。これは気中放電(空気中を放電する)や貫通放電(絶縁物の中を通り抜ける)の10倍以上の距離を放電するようです。
参考写真は以前に作ったモノですが、ロータとステータ支持金具間で沿面放電を起こしたと思われます。
また絶縁物の耐圧はDC電圧で表示されてる場合が多いですが高周波ではその振る舞いが違うようです。
今までの経験で沿面放電は空中の5倍くらい今回の例では35mm以上離せば何とかなる??程度の自信しかありません。(天候で大きく変わります)
貫通放電にも見えますが?
出来る限り離しておきましょう。尖りが有ると放電しやすくなります。 同軸コンデンサが端子付近で放電しました。貫通放電にも見えますが沿面放電を起こし更に貫通放電に進んだと思われます。
同軸ケーブルの耐圧はフジクラの規格表では3D2V以上はどれも1kVとなっていますがコネクタ部分も考慮しての規格と思います。5D2V以上であればこの程度の電圧では貫通放電には耐えられると思われますがこの写真の例では10D2Vを使用しています。 *今までの実験ではケーブルの途中で貫通した例はありません。
同軸コンデンサの端子付近の写真ですが左側外皮は接続しないので充分距離を取り後ろへ折り返しテーピングします。
右側芯線は接続しないので芯線との距離を多くとりしっかりテーピングします。
雨でぬれたりすると絶縁耐力は低下します。放電は一度でも発生すると表面が炭化されてしまうのか電気の通り道が出来て使用不能になり、何回も作り直しています。
安全のためには充電部を露出させない工夫も必要です。これは放電対策にもなるでしょう。

* 高電圧の放電に付いて私は理論的裏付けを持ちません。高電圧測定器も有りません。
経験的に判断しているだけです。 危険が潜んでいる可能性が有ります。
* 動作がおかしいときは異常放電を疑いましょう。夜間に照明を消して見ると放電が見えることが有ります。

環境対応は
このバリコンは当然のように屋外で使われます。もちろん雨の日も。
そのためには防水とまで云わなくても防滴ケースぐらいは考えなければなりません。ケースとして色々な素材を検討してもプラスティックにならざるを得ません。
プラスティックは誘電体としての問題点の他、紫外線による耐候性の問題が有ります。
大きさだけを考えて適当な箱を用意しても屋外で1年も使うとひび割れして来ます。それらを考慮して行き着いたのは建材の塩ビ管。安い割に丈夫です。強いて言えば丈夫過ぎる?かもしれません・・・重いのが欠点です。
今回の実験では塩ビ管VU100を使用します。両端はVUキャップです。 同じ呼び寸でVPタイプが有ります。丈夫ですが重くなり不適当です。
試作を始めようと図面を書き始めましたがサイズが小さすぎるようです。
今回の試作ではかなり無理をしています。
もし実験して見ようと思われるならVU125のほうが良いかもしれません。ホームセンタなどで実物をご覧になりサイズを決定することをお勧めします。
また、VU125はあまり使用されないサイズで定尺でないと販売しない店も有ります。